加納欄の合コン シリーズ10
「違います」

「欄……」

「違うんです。ごめんなさい」


どうしよう……。


あたし。


あたし、大山先輩を好きな気持ちが、止められないよ……。


嫌いになれないよ。


ダメなのに……。


あの日に、決めたのに……。


これ以上好きにならないって決めたのにぃ。


大山先輩は、ただ泣いているあたしを、また優しく抱き締めてくれた。

あたしは、大山先輩の鼓動が聞こえ、いつの間にか寝てしまった。

高遠先輩達が戻って来た。

「向こうは、大丈夫だ。怪我人も、犯人もゼロだ。どした?」

高遠先輩が、大山先輩に話しかけた。

「寝てる」

「そうか。さっき、すっげぇ剣幕で怒られた」

「怖かったんだろ?この人数を、たった1人で守らないといけなかったんだ。全員倒したと思ったら、店の店長も犯人でさ。こいつは、守るものがなければ、平気で無茶ばかりするけど、1人でも、守るものがあると、それを優先しすぎて、実力の半分も本気をださねぇ。それが命取りになるかもしれねぇのに。オレ達があの時、来るのが遅かったら、こいつ今頃どうなってたか」

「守るしかねぇだろ?いつも、欄に際どい仕事をさせてる分、欄がSOS入れて来たら、俺達は、何がなんでも、見つけ出して、助けだして、守ってやるしかないだろぅ」

「そんなことは、わかってるさ。だから、オレはこいつを守り抜くって、決めたんだ」

「……仁、それは、愛なのか?情なのか?」

「…………」

「愛じゃないんだったら、欄に、気を持たせるようなことするなよ。欄の気持ち知ってるだろ?」

「…………」

「お前の、言葉や態度で、欄の心は、180度変わるんだよ。言えよ。お前は、欄のこと、どう思ってるんだよ」

「オレは、こいつのこと……愛しいと思ってるさ。大切にしたいと思ってるさ。でも、仕事上そんなのは、優先させられないだろ」

「バカか。それで暴走して、突然キスして、欄に嫌われてたら意味ないだろ」

「でも、今のオレ達がやろうとしてる仕事には、欄は絶対必要不可欠なんだ。いいパートナーでいなくちゃいけないんだよ」

「お前、それ、本心?他に何かあるんじゃねぇの?」

「ねぇよ」


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