鈴姫
「え、違います違います!!」
「あたしに『このままでもいいのか』って聞いてきた時点でバレバレなのよ!」
すでに右手を耳のあたりにスタンバイしてビンタの準備完了!?
ちょ、待って!?
ヤダよヤですよ!?
目を強く瞑って、その来るだろう痛みに備える。
しかし、痛みの代わりに温かいものが頬全体に広がった。
反射的に目を開けると鈴姫との距離がちょっとだけ縮んでいた。
「らしくないこと、するんじゃありません」
「……は、はい……」
優しく、叱るようにそう言われた言葉。
トクトクトク……速まった鼓動。
「ほら、ボーっとしてないで!次の授業始まっちゃうでしょ?」
「あ、は、はい……」
……この、安心するような温かいものは、なんだろう……?