鈴姫


『らしくないこと、するんじゃありません』


あの時の顔も、声も、熱も、何もかもを鮮明に思い出せる。

だってずっとずっと、頭の中でリピートしていたから。

離れてくれなかったから……。



「らしくないこと、するんじゃありませんって……怒られた……?」

「変化を嫌うタイプか、そうか」


……今ので、なにかがわかったのか?


「お前、これから変わろうとすんな」

「……は?」

「お前が無理に変わろうとすれば、陽乃芽先輩は遠くなると思え」

「へ!?」

「自然と変わっていくならいい。でも無理すると嫌われる。紳士になる……つまり、お前が変化する事に対して陽乃芽先輩がどう受け止めるかによって判断基準にした」
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