鈴姫
もどかしいほどに、鈴姫に伝えたくて、伝えきれない気持ち。
『好き』
その言葉を本人に言ったのは、初めてだったのかもしれない。
『……ははっ、知ってる』
『大好き』
『それも、知ってる』
優しい手で、俺の頭をポンポンと叩いて、なめらかな手つきで撫でてくれる。
安心出来るような、穏やかな時間。
『……落ち着いた?』
『……落ち着かない!』
またギュッと鈴姫を抱き締める。
『きーづーな』
優しい声で、俺の名前を呼ぶ。
『あたしね、思ったんだ』