鈴姫
「お兄ちゃんはバカでもおかしくても、世界一優しいんだから」
「……」
「って、言ったんだよな?確か」
外で繰り広げられていたその騒ぎを、教室から俺たちも見ていた。
男共の言葉は聞こえなかったが、苺のその言葉だけははっきりと聞き取れた。
ちなみにビンタの現場まで見てしまった。
「あれは衝撃的だったな」
「あの時からだ、俺が苺に惚れたの」
「……は!?」
今なんつった?
今なんつった!?
あの頃から!?
小学校の時からずっとか!?
「まさか、奏真がそんなに一途だったとは……」
「まぁずっと好きだったからな。鈍い紲が気付かないのも無理無いか」