鈴姫
ドキドキ、ドキドキ。
鈴姫とはもう抱きしめ合ったりもしたのに、手を繋ぐのには慣れない。
触れたかったけど、触れていいのかわからなかった。
でも、もういいってことですよね?
俺はそっと、鈴姫の右手と自分の左手をつないだ。
すぐに鈴姫の手に力が入って、ギュッと握りしめ合う。
「本当は、どこでもギュッてしてたいの。ハグ、してたいけど、それじゃ歩けないから……」
「俺も、全身で鈴姫を抱きしめて、実感したいです」
鈴姫の家が近付いてきた。
「実感するなら、もっといい方法があるわ」
鈴姫がそう言った時、ちょうど家の門のところに着いた。
そして俺の顔を引き寄せて、そっと唇に唇を重ねた。