雨
教室はいたる所に傷と汚れと落書きがあり、いくつかの席が空白だった。
そして女子は二人しかいなかった。
「榊さん自己紹介をお願いします。」
めんどい。
「……席、どこ?」
あたしは必要以上にはしゃべろうと思わない。
あたしがそれしかしゃべらなかったからか、伊藤はあたふたしながらも、ひとつの席を指差した。
「あの廊下側の後ろから二番目です。」
あたしは言われた席に座った。
「え~…ということでみなさん仲良くしてください。それでは…。」
それだけ言うと伊藤は出て行った。