君ニ花ヲ…
「あ、あたしの家ここ」
「おお、そうか」
「送ってくれてありがとう」
家の門の前で美咲はソラにほほ笑んだ。
「ドウイタシマシテ」
それじゃ、とソラは振り返り、帰って行った。
その後ろ姿を美咲はしばらくの間見守っていた。
ソラの姿が見えなくなってから、美咲は家に入った。
相変わらずの広いだけで温かみのない家。
弟の蓮哉は部屋にこもっているようだ。
美咲は何も言わずに玄関を上がり、真っ暗なリビングに明かりをつけた。
そこには家政婦さんが作ってくれた晩御飯がラップに包まれて置いてあった。
ぬくもりを失った料理を電子レンジで温め、美咲はひとりため息をついた。