君ニ花ヲ…
「また大崎だし」
「二年連続だね」
担任発表があり、その後LHRがあった。
担任の大崎の長いLHRを終え、やがて放課後になる。
「愛子はこの後部活だよね?」
美咲が鞄に筆箱とファイルをしまいながら愛子に聞く。
「そう。たぶん今日から新入生が見学に来るし。忙しくなるわ」
愛子は苦笑いをした。
愛子はサッカー部のマネ。
しっかり者の彼女は部員達からも慕われている。
「それじゃあ、あたしは帰るね」
「うん。気をつけて帰りなよ」
「大丈夫!じゃあ明日。ばいばい」
美咲は笑顔で手を振ると教室を後にした。
「部活っていいな…」
ひとり帰り際にぽつりと美咲はつぶやいた。
美咲は中学の時も高校も帰宅部だった。
部活に入りたいと思うけれども、美咲には入れない理由があった。