君ニ花ヲ…
「おい、お前こんなところで何やってる?」


ソラは急いで駆け寄り、美咲の上に傘をやる。


「こんなにぬれて。風邪ひくぞ」


ソラはエナメルバックの中からタオルを取り出した。


「ソラ君…。あたし家に帰りたくないの…」


「はっ!?」


美咲の眼は涙で真っ赤になっていた。


ソラは戸惑って頭を掻いた。



「んー、とりあえずうち来いよ」



「え!?でも、そんな…」


思わぬ言葉に美咲はソラを見上げた。



「このままじゃヤバいだろ?それに家に帰りたくないんだろ?」



美咲は黙ってうなずいた。


ソラの傘に二人で入る。


大きなソラと一本の傘に入るのは窮屈だった。


「ソラ君、肩濡れちゃってる。申し訳ないよ」


美咲はソラが濡れないように自分のほうに傘を傾けてくれていたことに気づいていた。


「ソラ君、何があったか聞かないんだね」


美咲は横にいるソラの顔を少し見上げた。


「あー、別にお前が言いたくないなら無理には聞かないし、聞いてほしいなら話聞くけど?」


「聞いてくれる?」


「いいよ」


美咲は少し微笑んでソラに話しはじめた。
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