君ニ花ヲ…
打ちあがる花火

真っ青な空には大きな入道雲。


蝉の鳴き声がさらに暑さを煽るように感じる。


一学期も終わり、学生たちは夏休みを迎えていた。



美咲は自分の部屋のベッドに横になって通知表を見ていた。


「23番か…」


期末テストの順位を呟く。



こんなんじゃ全然足りない…。



美咲は成績を親に見せるのが苦痛でしょうがなかった。



「宿題しなきゃ…」


美咲は机に向かう。


山のようなプリントと問題集の数。


数学の問題集を取り出し、シャーペンを動かしはじめた。



「美咲、これ」


自分の部屋のドアが開いたかと思うと美波がジュースを持ってきてくれた。


「お姉ちゃん、また帰ってきてたんだ」



「まあね」



「成績下がっちゃった…」



美咲は下を俯いた。



美波はそんな美咲の肩に手をやった。



「あんたの気持、よくわかるよ。私も親のいいなりに頑張ってきたもんね。反発しようって何度も思ったこともあったけど、結局そんな勇気なかった。美咲、あんたもよく考えたほうがいいよ」


美波はそう言って、美咲の机にジュースを置き、部屋を出て行った。

< 34 / 38 >

この作品をシェア

pagetop