君ニ花ヲ…
「ただいま」
家についた美咲は玄関でローファーを脱ぐ。
するとピンクのパンプスがあるのが目に入った。
「お姉ちゃん来てたんだ」
美咲がリビングのドアを開けるとそこには美咲の姉の美波の姿があった。
美波は美咲よりも十歳上で、隣町の病院で医者として勤務している。
普段は一人暮らしをしているが、時々家に帰ってくるのだ。
「ねえ、美咲。お姉ちゃん適当にご飯買ってきたから食べよっか。あんた、部屋にいる蓮哉呼んできてよ」
「はあい」
美咲は二階の自室にいる弟の蓮哉を呼びに行った。
「ご飯食べるから下に降りてきなさい」
扉に向かって美咲が言ったが何の返事もない。
「聞いてるの?ねえ、蓮哉!」
美咲は少し声を大きくしドアをトントンと叩いた。
「わかったよ!すぐ行くから」
蓮哉はめんどくさそうに返事をした。