恋のA教室
「話って?」
椎奈も葵の寂しい表情や作り笑いが分かったのか暗い声で話している。
「あのなぁ…優矢が今日で予備校辞める…あいつモデルをやるらしい…だから東京へ行くんだって…いちよう高校は今までと同じく桜華に通うらしいから…あいつの親父…桜華の校長だしさ…卒業はさせてくれるって…今日行くらしいし…たぶんみんなには旅行って言ってると思う」
あっ!
『東京に家族で旅行するんだ』
って…
ウソ…
しばらく会えないの?
確かに…友達歴は全くって程だけど…大切な友達の1人だもん…
「早く!立って!!」
あたしは気付いたら叫んでいた。
「愛心…??」
「こんな簡単に離したくないよ!みんないいの?人気モデルになったらなかなか会えなくなるよ…そんなのあたしより友達歴の長い椎奈と葵の方が嫌だと思うよ!!寛貴くん連れて早く行こう!!」
あたしはそれ以外もうなにも考えられなくて…
2階に降りて5教のドアを思いっきり開けると…
みんなの視線が集まるがそんなのどうでもいい…とにかく寛貴くんを…
「いたっ!!寛貴くん!!ちょっと来て!!」
あたしは寛貴くんの所まで行くと腕を掴んで5教から出た。