Ensemble
私が入ったときの1年4組には、
もう半分ぐらいの人が来ていた。

もちろん知らない顔ばかり。

自分の名前と出席番号の机を
見つけて席に座った。

緊張がまだ全然解けなくて
何も喋らずただじっとしていた。
しかしどこかそわそわしてしまう。
もう、本当に落ち着かなくて困る。

「そういえば、先生は…」

ふっと思い出してみると、
私はメンバーのことばかりで
先生の事をすっかり忘れていた。

見慣れない名前ばかりの
クラス発表は見るのが辛くて
すぐに目を逸らしてしまった。
なので担任の先生の名前も
見るのを忘れていたのだ。

しばらくして全員が揃った頃に
担任の先生がドアを開けて入ってきた。

一斉にみんなの視線がドアに集中する。

そこにいた先生は
ショートヘアで
ボーイッシュな感じの
女の先生だった。

「皆さん、初めまして。
あたしが、この1年4組の
担任になった真田桂子です。
これから1年間、宜しくね。」

そう言ってにっ、と優しく笑った
真田先生を見ていると
なんだか緊張が少しずつ
解けていくような気がした。
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