エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》
モチロン組織の車はすぐに乗り捨てた。
駅に辿り着くと、まずATMでキャッシュカードを使って片っ端から引き出せるだけの金を下ろしていった。
こんな事もあろうかと金は一定額までしか入れずに6枚のカードを所有していたのでほぼ全額を下ろしきるとそれも処分した。
ただ一つの口座を除いてはだが…。
それは名義も俺ではないし、いつの日かあの子に渡せたらと貯めてきた大切な預金だから絶対に手はつけない。
俺と弥生は電車に乗ると『大宮』で下車してバスを乗りついで、あるアメ車の中古車屋へと向かった。
今まで何となく、もし俺が…と頭の中で思い描いていた逃走手段を辿る。
『U・S・A』と手書き風の看板を掲げたこの店は完全にオーナーの趣味でやっているような気安さが漂っていて以前から気に掛けていたのだ。
あまり広くはなく店前に並べられた車も10台と少ない。
キャデラック、リンカーンなど、俺たちの年代ならどれも一度は乗ってみたいと憧れた車たちだ。
弥生がくすっと笑うと
「野田さん まるで少年のような瞳をしてますよ。」
とからかってきたが、俺はそんな事はお構いなしで一台、一台品定めしていった。
すると値段のついてないダークグリーンの“リーガル セダン”が目に入った。
駅に辿り着くと、まずATMでキャッシュカードを使って片っ端から引き出せるだけの金を下ろしていった。
こんな事もあろうかと金は一定額までしか入れずに6枚のカードを所有していたのでほぼ全額を下ろしきるとそれも処分した。
ただ一つの口座を除いてはだが…。
それは名義も俺ではないし、いつの日かあの子に渡せたらと貯めてきた大切な預金だから絶対に手はつけない。
俺と弥生は電車に乗ると『大宮』で下車してバスを乗りついで、あるアメ車の中古車屋へと向かった。
今まで何となく、もし俺が…と頭の中で思い描いていた逃走手段を辿る。
『U・S・A』と手書き風の看板を掲げたこの店は完全にオーナーの趣味でやっているような気安さが漂っていて以前から気に掛けていたのだ。
あまり広くはなく店前に並べられた車も10台と少ない。
キャデラック、リンカーンなど、俺たちの年代ならどれも一度は乗ってみたいと憧れた車たちだ。
弥生がくすっと笑うと
「野田さん まるで少年のような瞳をしてますよ。」
とからかってきたが、俺はそんな事はお構いなしで一台、一台品定めしていった。
すると値段のついてないダークグリーンの“リーガル セダン”が目に入った。