エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》
最初、親父にここのパンフレットを見せられた時は、訳がわからなかったよ。

お前が邪魔だとは言われなかったけど、兄たちの事を考えてやってくれと言われて愕然とした。

(そうかやっぱりここには俺の居場所はないんだな…。)

それが分かるともう後はどうでも良かった。

俺はここでとりあえず卒業すればいい。

後は沖縄に行ってダンスをするつもりだ。

だから正直、お前に出会うまで、ここでの生活には色がなかったよ。

でも他人を守りたいって初めて思ったし、お前の背負っている物に比べたら、俺の悩みなんてちっぽけなもんだ。

俺はただ、ただ誰かに甘えたい弱虫で………。」

命が声をあげて泣きだしたので火菜はそっと肩を抱き寄せた。

「つらかったねミコ。私がいるよ。ずっと側にいるから…。」

火菜も泣いていた。

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