エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》
世捨て人のアイドル
「おかえり サムさん。」
「ただいま 勇。」
私が今日の夕食の弁当を袋から二つ取り出すと、勇ははしゃいで
「わ〜い 今日もごちそうだね。やったぁ!」
と無邪気に喜ぶ。
もっとも、ごちそうと言っても、コンビニの裏の大きな業務用のゴミ箱に一度は捨てられた賞味期限切れのものだが、コイツはそれを喜んで食らう。
モチロン、生活の糧のない私にとってもそれはごちそうで間違いはないのだが、コイツは一体いままでどんな暮らしをしていたのだ?とよく思う。
二人でそれを半分程掻き込んだところで差し入れをだしてやる。
「ほら、勇みんなからだぞ。」
みんなも勇の存在を知ってから、何かと勇に構いたがってこうやってジュースや菓子を私に手渡して
「これ、勇にやってくれ。お前が食らうなよ。」
と言うが私はとてもうれしくなる。
そうだコイツは私の自慢の息子だ。
最近ではそう思うようになっている。
いつかは親元に帰るだろうが、今はこうして居たい。
コイツの純真無垢な心に触れていると、遠い昔に捨てたハズの何かを思い出して泣きたくなるんだ。
きっとこの界隈に集まる仲間たちも同じ想いでいるのだ。
だからコイツは世捨人のアイドルなのだと思う。
「ただいま 勇。」
私が今日の夕食の弁当を袋から二つ取り出すと、勇ははしゃいで
「わ〜い 今日もごちそうだね。やったぁ!」
と無邪気に喜ぶ。
もっとも、ごちそうと言っても、コンビニの裏の大きな業務用のゴミ箱に一度は捨てられた賞味期限切れのものだが、コイツはそれを喜んで食らう。
モチロン、生活の糧のない私にとってもそれはごちそうで間違いはないのだが、コイツは一体いままでどんな暮らしをしていたのだ?とよく思う。
二人でそれを半分程掻き込んだところで差し入れをだしてやる。
「ほら、勇みんなからだぞ。」
みんなも勇の存在を知ってから、何かと勇に構いたがってこうやってジュースや菓子を私に手渡して
「これ、勇にやってくれ。お前が食らうなよ。」
と言うが私はとてもうれしくなる。
そうだコイツは私の自慢の息子だ。
最近ではそう思うようになっている。
いつかは親元に帰るだろうが、今はこうして居たい。
コイツの純真無垢な心に触れていると、遠い昔に捨てたハズの何かを思い出して泣きたくなるんだ。
きっとこの界隈に集まる仲間たちも同じ想いでいるのだ。
だからコイツは世捨人のアイドルなのだと思う。