エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》
しかし、私には黙視している事がある。
私はほとんど働かずにいるので昼間は割りと食料などの調達で留守にするが、そんな時でも勇はおとなしく待っていてくれる。
ここには何の気の効いた物もないから退屈だろうと、早めに帰ってみた日の事である。
所持品は何もないと思っていた勇が真新しいケータイをいじくっているではないか!?
私はその光景を見た瞬間、頭の中が真っ白になり、勇との『別れ』を予感した。
この子もやはり今時の子供と同じでケータイを持っていたのか…と。
しかし、そっと観察してみると、そのケータイは光りも音も発せず、まるでただのオモチャのようだった。
かつて私もケータイは所有していたので、すぐにその理由が分かった。
勇のソレは電源が入っておらずに、また勇はソレを使うすべを知らないのだ。
「おかしいなー。実咲ちゃんみたくピッとか言わないし、明るくもならないぞ。」
とブツブツ言いながら必死にボタンを押している。
私はほとんど働かずにいるので昼間は割りと食料などの調達で留守にするが、そんな時でも勇はおとなしく待っていてくれる。
ここには何の気の効いた物もないから退屈だろうと、早めに帰ってみた日の事である。
所持品は何もないと思っていた勇が真新しいケータイをいじくっているではないか!?
私はその光景を見た瞬間、頭の中が真っ白になり、勇との『別れ』を予感した。
この子もやはり今時の子供と同じでケータイを持っていたのか…と。
しかし、そっと観察してみると、そのケータイは光りも音も発せず、まるでただのオモチャのようだった。
かつて私もケータイは所有していたので、すぐにその理由が分かった。
勇のソレは電源が入っておらずに、また勇はソレを使うすべを知らないのだ。
「おかしいなー。実咲ちゃんみたくピッとか言わないし、明るくもならないぞ。」
とブツブツ言いながら必死にボタンを押している。