エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》
「いや、すまん。何かあったのか!? 火菜か?勇か?」

すぐに源にも緊張が走った。

「いいや。二人と弥生さんの捜索はかなり難航していてまだ、小さな手がかりさえ見つかってない。…と言う事はお前だよ。ヤバいぞ。」

「I think so la.」

「お前さんがシンガポールに飛んだ事が分かって、早速、5人が一時間前にこっちを発った。だから、ヤバいんだ。」

「I think so la.」

執拗な源の返しに冷静な飯島がやっとで突っ込んだ。

「だ、か、ら!なんだぁ!? その語尾の“la”って…。なんでいちいち付けてんだぁ〜!」

「あっ…やっと突っ込んでくれた! ゴメンね〜シングリッシュって言われるシンガポールの方言さ。ちょっと使ってみたかったから…ゴメンね。」

「…まったくアンタって…本当に馬鹿だよね。 マジで呆れるよ。 他人の為に自分が生命の危機にさらされてるのに、こんな時までおチャラけて…。そして俺も馬鹿だから、そんなアンタに味方して本当に良かったと思ってるよ。」

「…ありがとな。じゃあ今夜には奴らがここにやって来るってわけだな。」

「ああ、そうだ。でもアンタの居場所が分かってるわけじゃない。だからそっちに着いてまた捜索するからまだ少しの猶予はあるが、人目を避けて当分はどこかにおとなしく潜伏しといたがいい。」

「ああ、そうだな。本当にありがとな。」

源は電話を終えると空になった器を見て

「あー当分ブロウン・ミーは食えねぇな。」

と残していた汁を飲み干した。


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