エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》
源は火菜と話したくなって、ケータイの短縮の2を押した。

1には絶対に掛ける事の出来ない、でも一番大事な家族の電話番号が入れてあるのだ。

「もしもし、おっちゃん!?」

火菜の声が微かに反響しながら源のケータイへと飛び込んできて、源はそれだけで泣きだしそうになった。
「ああ〜」

そのせいで声が裏返ってしまったが、なんとか話しは出来そうだ。

「どう?変わりない?ちゃんと食べてる?」

火菜も矢継ぎ早に質問をして興奮気味だ。

「ああ、ちゃんと食ってるし、元気だ。相変わらず不足してるのは、脳みそと恋人だけさ。」

源は率直な答えをしたが

「まったく能天気だね〜!」

と火菜は分かった分かったと言わんばかりだ。

「お前の方こそ どうだ?学校楽しいか!?」

「うん楽しいよ!その事も含めて、おっちゃんに電話するつもりだったんだ。」

「何かあったな‥朗報か?」

「うん。いいっちゃイイよ。」

「もったいぶるな。早く言え!!」

「そうだね。おっちゃんに早く教えたかったよ。私ね……好きな人が出来たよ。初めて守りたいって思う大切な人が出来たよ。」

「ああ そうか。それは……かなり 驚いた。」

「…だよね。自分ででもビックリだもん。」

「でも 良かったなぁ〜。」


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