エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》
《弥生の出来事》
さすがにひなびた漁港の温泉宿も一週間も連泊すれば、そろそろ怪しまれだしたようだ。
そのくらいこの町は観光名所もなければスポットも何もない。
長期滞在する客と言えば、湯治する老夫婦か、売れない作家ぐらいではないのだろうか…私がそんな事を考えていると、それを察したように野田がつぶやく様に口を開いた。
「そろそろ、ここも潮時だな。」
私も二回うなづいて
「そうですね。次はどこへ行きますか? とりあえず追っ手はこないみたいなので良かったですね。」
すると野田は真顔になって
「いや!それは分からん。多分、来た!と気付いた時はもう逃げられないハズだ。」
「じゃあ 取り敢えずココは離れましょうか…。さっき、厨房の横を通ったらパートの仲居さんたちが私達の事をかなりの訳ありだって話してました。」
「そうか、それじゃあ そろそろ腹をくくるかな…。弥生さんよ!今から俺の言う事をよく聞いてくれ……。」
野田はそう言うと、そろそろと話しだした。
さすがにひなびた漁港の温泉宿も一週間も連泊すれば、そろそろ怪しまれだしたようだ。
そのくらいこの町は観光名所もなければスポットも何もない。
長期滞在する客と言えば、湯治する老夫婦か、売れない作家ぐらいではないのだろうか…私がそんな事を考えていると、それを察したように野田がつぶやく様に口を開いた。
「そろそろ、ここも潮時だな。」
私も二回うなづいて
「そうですね。次はどこへ行きますか? とりあえず追っ手はこないみたいなので良かったですね。」
すると野田は真顔になって
「いや!それは分からん。多分、来た!と気付いた時はもう逃げられないハズだ。」
「じゃあ 取り敢えずココは離れましょうか…。さっき、厨房の横を通ったらパートの仲居さんたちが私達の事をかなりの訳ありだって話してました。」
「そうか、それじゃあ そろそろ腹をくくるかな…。弥生さんよ!今から俺の言う事をよく聞いてくれ……。」
野田はそう言うと、そろそろと話しだした。