エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》
「でもそんな事出来るのでしょうか……?」

「ああ 多分、大丈夫だ。あちらさんも、政治家だ。スキャンダルは命取りだから、要求を飲むしかないだろう。でも、事をうまく運ばないといけないがな…。」

そこまで聞くと弥生は今まで張り詰めていた気持ちが一気に軟化してホロホロと涙を流した。

「野田さん。私、アナタの事を誤解してました。ただなんとなくココに滞在して時間がもったいないと内心焦っていたのですが、色々と考えて下さってたのですね!」

弥生が無心に涙を流して喜んでいるので野田はバツが悪くなったが、

「俺の事、温泉好きのエロい親父と思ってたんだろう〜?」

すると弥生はいとも簡単に

「ハイ。実はそう思ってました。」

と言ってのけた。

「ちょっと待ってくれよ〜アンタと逃げて2週間あまりだが、まだ俺は手を出してないだろう〜。それなのに何!? その言われ方。ひどすぎないか!?」

「だから……女性には色々と体の事情とかあるんですから…。」

弥生が困った顔をするので、もうここら辺で解放してやろうと野田は急に真顔になって言った。

「分かった。分かった じゃあ作戦会議だ!!」


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