エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》
しかし自転車に二人で乗っていても今朝は自分から何も話そうとしない命に火菜は問い掛けた。

「……ミコ。何かあったんじゃない!?」

「………火菜に心配かけたくないと思ったけど、やっぱ話しとくわ!」

「うん!聞きたい。」

命はそこで自転車を止め

「じゃあ学校まで歩きながら話すよ。」

どうやら簡単な話しじゃなさそうだ。

「分かった。」

火菜も自転車を降りて歩く事にした。


命はそれでも言い渋っていたが、やっとで話し始めた。

「昨日、寮に帰ると親から手紙来てたんだぁ。」

極めて感情を押さえて淡々と命が話すので火菜は

「そうなんだ!?」

と感想は言わずに返答した。

「でもやっぱり勝手だ!うちの親たちは…読んでみたけど、俺には悪い事をしたから誤りたいと延々と綴ってあって、しかも明日二人で面会に来るらしいんだ。まだ気持ちの整理もつかないのに会いたくないなー。」

「そっかー。それはまた突然だね。」

「だろ!?分かんねえよ どうしていいのか…昨日一晩考えてみたけど。」

火菜もあまり軽はずみな事は言いたくないので考えていると

「これ読む?」

命は両親からの手紙を火菜に差し出した。

「いいの?読んでも!」

「…ああ。」

火菜はそれを受け取ると便箋を開いて読み出した。

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