エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》
そして翌日、嵐の前に

《AM6:00〜8:00》


翌日、日本とは一時間の時差のあるシンガポールだがしかし、それでも一番早く目覚めたのは源だった。

ただ単に昨夜はまんじりともせずに朝を迎えたのだが、一晩中考えても新しい逃げ場所などみつからなかった。

―いっその事、日本にでも帰ろうか……。

源がそう思って、ボリュームを『0』に絞ってつけたテレビで丁度タイミングよくニュースは日本の話題をやっていた。

「何!?台風が関東直撃で今日にも上陸か!!」

源は思わず声に出して言った。

そしてその瞬間から、虫の知らせなのか自分の事より、勇の安否が気になり始めて言いようのない胸騒ぎに襲われる源だった。

「くそォ〜なんとかしなきゃ。」

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