エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》
大輔はその紙を二人に見えるように掲げて言った。
「私は取引きをするぞ! このまま事を長引かせてもお互い何の得にもならん。」
美佐子も黒沢も大輔の言う『取引』の意味が飲み込めずに
「何の事ですか?」
と美佐子は尋ねるしかなかった。
「弁護士の高野に相談して、これを作った。後は実印を押すだけだ。なんなら血判を押してもいい。」
大輔は段々と興奮してきて顔が赤らんできたので、美佐子が取り成すように言った。
「お父さま。あまり興奮なさらないように」
そして、大輔の手からその紙を受け取り黒沢と一緒に目を通す。
するとそこには、あのペンダントと引き替えに弥生と火菜と勇の三人を自由にする。という交換条件が提示してあった。
他に屋敷内で起こった事や生い立ちに関しても一切、封印する事。そしたら安全を保障する事。
美佐子はそれを読んで頭がクラクラしていた。
自分にとってこの措置は負けに等しい敗北宣言だ。
こんな和解など一度も考えた事などなかった。
おまけにやっと源に手がとどきそうなとこなのに…。
「ちょっとお待ち下さい」
「私は取引きをするぞ! このまま事を長引かせてもお互い何の得にもならん。」
美佐子も黒沢も大輔の言う『取引』の意味が飲み込めずに
「何の事ですか?」
と美佐子は尋ねるしかなかった。
「弁護士の高野に相談して、これを作った。後は実印を押すだけだ。なんなら血判を押してもいい。」
大輔は段々と興奮してきて顔が赤らんできたので、美佐子が取り成すように言った。
「お父さま。あまり興奮なさらないように」
そして、大輔の手からその紙を受け取り黒沢と一緒に目を通す。
するとそこには、あのペンダントと引き替えに弥生と火菜と勇の三人を自由にする。という交換条件が提示してあった。
他に屋敷内で起こった事や生い立ちに関しても一切、封印する事。そしたら安全を保障する事。
美佐子はそれを読んで頭がクラクラしていた。
自分にとってこの措置は負けに等しい敗北宣言だ。
こんな和解など一度も考えた事などなかった。
おまけにやっと源に手がとどきそうなとこなのに…。
「ちょっとお待ち下さい」