エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》
開始する
《AM10:00〜12:00》
台風は確実に近づいて来ている様子で、段々と強まる風もさる事ながら、雨足が異常なくらいの激しさでほとんどの河川はとっくに警戒水位を越えていた。
こんな時、普段は台風の専用滑走路化している九州の人々なら台風の恐ろしさをイヤという程認識しているので、それなりの備えは万全なのだが、台風に不慣れな関東の人々はなす術もない。
それに知らないというのは強みで、当の本人にはそれが怖さ知らずの大胆不敵な行動であると知る由もないので毎年、台風で命を落とす人が後を断たないのはその為かもしれなかった。
出来ればこんな日の外出は避けたかった。
命の父は沖縄の出身で、誰よりも台風の恐ろしさを知っているだけに今日、今こうして妻とともに台風に挑んでいる事が自分でも信じられなかった。
私にも我が子可愛さに自制心を失う愚かさがあったなんて……そう思うと竦みそうになる足に力が入っていった。
「よし、バスもまだ動いているぞ!良かったな。」
「ええ 行きましょう。」
いつの間にか二人はしっかと手を繋ぎバスへと向かっていた。
台風は確実に近づいて来ている様子で、段々と強まる風もさる事ながら、雨足が異常なくらいの激しさでほとんどの河川はとっくに警戒水位を越えていた。
こんな時、普段は台風の専用滑走路化している九州の人々なら台風の恐ろしさをイヤという程認識しているので、それなりの備えは万全なのだが、台風に不慣れな関東の人々はなす術もない。
それに知らないというのは強みで、当の本人にはそれが怖さ知らずの大胆不敵な行動であると知る由もないので毎年、台風で命を落とす人が後を断たないのはその為かもしれなかった。
出来ればこんな日の外出は避けたかった。
命の父は沖縄の出身で、誰よりも台風の恐ろしさを知っているだけに今日、今こうして妻とともに台風に挑んでいる事が自分でも信じられなかった。
私にも我が子可愛さに自制心を失う愚かさがあったなんて……そう思うと竦みそうになる足に力が入っていった。
「よし、バスもまだ動いているぞ!良かったな。」
「ええ 行きましょう。」
いつの間にか二人はしっかと手を繋ぎバスへと向かっていた。