エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》
望は子供たちへとそれぞれ無事ですとメールを返信すると、最近の日課である郵便物のチエックの為に外へ出た。
―やはりこんな日でも届けられている。
強靱な配達員に感謝しつつポストから手紙たちを取り出すと大多数のダイレクトメールの中に手書きの手紙を発見した。
そしてそれを真ん中に挟みこんで家の中に戻ろうとしたところに声を掛けられドキッとした。
「おはようございます。」
振り向くと、あの男が立っていた。
「……えっ!?」
自分を尾行した上に自宅を監視させ盗聴している男が声を掛けてくるなんて…。
望が絶句していると、涼やかな笑顔を携えて、その男が近づいて来る。
イヤ。一刻も早く弥生さんからの手紙を見たいのにこの男、一体何の目的で声を掛けてきたの……。
「お久しぶりですね。その節はどうも。」
その節とはどうやら中条の通夜の事を言っているらしかった。
「いいえ、別に久しぶりではないハズですよね。」
望は家の周りを取り囲んだ車達を見て嫌味を言うつもりが、今朝は目の前に停車している黒のジャガー1台きりなのに気付いて再び絶句した。
「実はその事でお話がしたくて参りました。遅くなりました。私、黒沢慎司と言うものです。」
―やはりこんな日でも届けられている。
強靱な配達員に感謝しつつポストから手紙たちを取り出すと大多数のダイレクトメールの中に手書きの手紙を発見した。
そしてそれを真ん中に挟みこんで家の中に戻ろうとしたところに声を掛けられドキッとした。
「おはようございます。」
振り向くと、あの男が立っていた。
「……えっ!?」
自分を尾行した上に自宅を監視させ盗聴している男が声を掛けてくるなんて…。
望が絶句していると、涼やかな笑顔を携えて、その男が近づいて来る。
イヤ。一刻も早く弥生さんからの手紙を見たいのにこの男、一体何の目的で声を掛けてきたの……。
「お久しぶりですね。その節はどうも。」
その節とはどうやら中条の通夜の事を言っているらしかった。
「いいえ、別に久しぶりではないハズですよね。」
望は家の周りを取り囲んだ車達を見て嫌味を言うつもりが、今朝は目の前に停車している黒のジャガー1台きりなのに気付いて再び絶句した。
「実はその事でお話がしたくて参りました。遅くなりました。私、黒沢慎司と言うものです。」