エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》
「悪いわね。こんな台風の日に呼び出して」
久しぶりの再会にも関わらず余計な言葉はいらないと何とも美佐子らしい態度だったが、空々しい言葉など不要だ。
この女は火菜たちを地獄に突き落とすつもりだったのだから……。
望は車に乗り込んで美佐子の相変わらずの無表情なその顔を確認すると怒りが沸き上がる思いがした。
しかし、憎しみは堪えて
「弘輔は元気にしてますか。」
と尋ねた。
「ええ、安心して。今から話す事は全部、弘輔の事を考えての事なのよ。アナタも火菜たちの事はすべて知ってるでしょう。いえ、居場所を聞き出したいんじゃないの。実は今日は父の遣いで来たのよ。まずこれを見て…」
望は差し出された白い封筒を受け取るとすぐに中を改めてみた。
いつの間にか手の震えは止まっていた。
久しぶりの再会にも関わらず余計な言葉はいらないと何とも美佐子らしい態度だったが、空々しい言葉など不要だ。
この女は火菜たちを地獄に突き落とすつもりだったのだから……。
望は車に乗り込んで美佐子の相変わらずの無表情なその顔を確認すると怒りが沸き上がる思いがした。
しかし、憎しみは堪えて
「弘輔は元気にしてますか。」
と尋ねた。
「ええ、安心して。今から話す事は全部、弘輔の事を考えての事なのよ。アナタも火菜たちの事はすべて知ってるでしょう。いえ、居場所を聞き出したいんじゃないの。実は今日は父の遣いで来たのよ。まずこれを見て…」
望は差し出された白い封筒を受け取るとすぐに中を改めてみた。
いつの間にか手の震えは止まっていた。