エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》
「すみません。急にこんな話で驚かれたと思いますが、色々と複雑な事情がありまして…。今ここですべてをお話しする訳にもいきませんので掻い摘んでお話ししますと、勇が中条家に半ば監禁状態で過ごしていたのを私が助けだしました。しかし、脱出の際にはぐれてしまったのです。なので中条家は勇を探しています。そしてその病院は中条家の息がかかっているので非常に危険です。勇がうっかり何かをしゃべらんとも限りませんし…。」

源はとりあえず要点だけを早口でまくし立てた。

「そうですか。だいたいの事情は飲み込めましたが保険証もない。この病院も危ないなら今すぐズラかるしかないですね。そして勇をどこに連れて行けばいいですか?」

「……それが問題です。」
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