エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》
サムは避難場所へと落ち着いたら、また源に連絡すると約束して電話を切った。

その間、源も勇の落ち着き先を用意してくれるらしい。

―さて、勇を連れて早いとこ逃げださなきゃなー。

しかし、台風が去った後、勇を連れてどうやってそこまで行こう。

なにせ先立つものがない。

まったくの一文無しだ。

金目当てに勇を助けたと思われたくなかったから源にもそうと言えなかったのだ。

バカだなー。格好つけてる場合じゃあねえのに…。

サムは検査室のドアに手を掛けた。
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