エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》
「えーーーっ!!」

誰もが、そう叫んでいた。

命の父に至っては、ちょうど口に運んでいたコンソメスープを噴き出した程だった。

「私なりにナイ知恵を絞って考えてみたけど、なんかそうするのが一番イイと思わない?」

こういう時のお嬢様育ちの人間は強い。

どんな突飛な考えも上手くいくと考え疑わない。

そんな妻の性格を知り尽くした上で、命の父も加勢した。

「そうだな〜いっその事二人で沖縄に行くのもいいかもな。」

すると命の母の目は益々爛々と輝き

「まあーいいわね!なんか恋の逃避行って感じ。それは名案。」

すっかりご満悦の母親を見て命は火菜に耳打ちした。

「オフクロはハーレクイーンロマンスと韓流ファンなんだ。」

それがよく判らない火菜だったが、だいたいどんなものかの見当はついて苦笑いをした。
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