エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》
「あぁーもう!!!」
望は台風による強風の最中を一歩ずつ進みながらやっと200メートル程歩んだ所で大事な事を思いだした。
(私ったら慌てて出てきたんでケータイを忘れてきてるわ…。充電するためにバックから出していたから……あぁーなんてバカなんだろう。)
望は一瞬、後戻りするのは止めようと思ったが、こんな時にケータイがなければ武器を持たずに戦場に挑むようなもんじゃないかと、取りに帰る事にした。
しかしそんな望に、強風は情けをかけるわけもなく容赦なく吹き飛ばさんばかりだ。
望がやっとの思いで自宅にたどり着くと、ケータイではなく、家の電話が鳴っていた。
「はっ ハイ もしもし…。」