エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》
「火菜どうだった?」

電話を終えて戻って来た火菜を命は談話室の前で待っていた。

「うん。お母さんにアリサの事、話したら驚いてた。ケータイ壊された事を谷川の母に連絡してもらう。そして…勇が見つかったらしいの。」

本来なら、まず真っ先に言うべき事を火菜は言い渋って後にした。

「そっかぁ!良かったなお兄さんみつかって…。ああ、でもお兄さんって言ってもタメだな〜そう言えば……」

命が素直に喜んでくれるのに火菜の心はなぜか重かった。

(勇はお兄さん……?なんだよね!?)

「それで?お前やっぱ一度家帰るだろう?」

「うん。私達の事は会ってから伝えたいから、まだ話さなかったよ。勇は台風が通過しておさまったら児島の家に来るらしいよ!だから私も戻ってきなさいって言われた。」

命はそうだそうだと頷きながら、

「俺もちゃんと挨拶しなきゃな。」

と、はにかみながら微笑んだ。
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