エア・フリー　〜存在しない私達〜《後編・絆》
源はもうそろそろかと勇のケータイに掛けてみた。

すると出たのは、サムで小声で

「はい。私です。」

と言った。

「勇は大丈夫ですか？もう、病院は出られましたか？」

源はすぐに確かめた。

「それが実は………」

サムはこれまでのいきさつを簡潔に話していった。

「それで、安心したのでしょう。昨夜もあまり寝ていませんでしたし、今、ここで眠っているんです。」

「そうですか。本当に何から何までお世話になり有難うございます。それで申し訳ないのですが、勇を預かってくれる所がみつかりましたので、台風の後にそこまで連れて行っていただけますか？」

源にはサムを頼りにするしかなかったので一生懸命に頭を下げていた。

「大丈夫ですよ。任せて下さい。それじゃあ住所を教えて下さい。」

源は児島家の住所と近所の目印になるものを教えていった。
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