エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》
「判ったわ。じゃあこれは3人で分けますから。あなたもそれを受け取ってね。」
「……ハイ。」
梓が素直に返事をして、自分のバックの中にそれを直しだしたので、他の3人はホッとしたところだった。
梓は通帳を入れるだけじゃなく、バックの中身をゴソゴソとして何かを取り出そうとしていた。
他の3人はまったくそれに気付かない。
梓だけが心の中で、
(ついにコレが役立つ時が来た。)
梓は以前、高級コールガールとして働いている時に、医師の吉永から、護身用にと手術用のメスを一本貰っていたのだ。
梓はそれをしっかり握ると背後から手を回して野田の首筋にメスを近づけた。
「死んで償ってもらうわ。」
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