エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》

再び車内は緊迫した。

梓の目は本気で淀みは見られなかった。

3人は全く動く事が出来ずに硬直した。

息づかいだけが荒く響き、背中には嫌な汗が何回も流れ落ちた。

「私はナースよ。だからどこを切れば即死するかも判るし、苦しんで死なす事も出来るんだから…。さて、どこを切ろうかなー…。」

野田は殺される覚悟はついていた。

しかし、野田を殺めれば梓の心に傷が残ってしまう。

それだけは絶対避けたかった。

そんな時、均衡を破ったのは、今度は望だった。

「ダメ!絶対ダメよ。梓さんアナタにも、そんな事しても意味がない事判ってるんでしょう?」


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