エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》

フリースクールの談話室でも、次男の光とメールで連絡が取れて、台風が修まったら光が車で迎えに来てくれる事になった。

その間、命も火菜もそれぞれ寮の自分の部屋の荷物をまとめる事にした。

――ここに来て、二週間あまりでもう出るなんて……やっとみんなとも仲良くなれたのに、なんだかさみしいよ。

火菜が荷物をまとめながら、感傷に浸っていると、サクラとマリがやって来た。

「ヒナ!? どうしたの?荷物まとめて……うちに帰るの?」

火菜はさすがに学校を辞めるとは言えずに、

「うん。しばらく帰ってくるね。」

と言った。

「また、戻ってくるよね?」

サクラは感じる所があるのか、不安そうに聞いた。

「もちろん!夏休みが終わったら帰ってくるからね。」

(ゴメンね。サクラ、マリ。どうしても“さよなら”が言えないよ……)


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