エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》

その成り行きを見ながら、梓も頷いた。

「あなたも一人で野田さんを探すのは危険だわ。野田さんの事だから、このまま大人しく消される事はないと思うわ。あなたの為に生き延びてくれると思う。」

弥生は確率の低い願望と知りつつ梓に言った。

「そうですね。探す宛てもないし、私、待ちます。もう一度キチンと話したいから……あっ!でもこの車はどうします?」

「車ね……。実はこれレンタカーなのよ。バラしたら野田さんに怒られそうだけど… 」

「レンタカーなの?」

望が車内を見渡しながら聞いた。

「レンタカーって言っても、アメ車の中古車屋の代車を借りてるんだけど、だから返さなきゃね。」

「そうなんですか?それじゃあ、お二人を児島さん宅まで、送って私が返しておきますよ。」

ここは素直に梓の好意に甘える事にして、二人の母は台風の通過を待つ事にした。


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