エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》



それからの1〜2時間、台風は猛威を奮い、数々の爪痕を残して去っていった。

街は風によって運ばれた瓦礫と共に閑散としていて、まず、地下鉄が息を吹き返すと、路線バスなどの運行が始まった。

時間は19時に近かったが、店のシャッターも開きだした。

また都会の眠らない街は、動き始める。

街路樹の倒れた箇所の復旧作業。

それを避けるように、マイカーの往来も増えてゆく。

街はザワザワとその活気を取り戻しつつあった。


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