エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》
サムは急いで勇のベッドに飛び移るとカーテンを閉め

「勇、しゃべっちゃダメだ。静かにしてろっ」

と早口に言った。

勇がコクンと頷くと、二人の医者が入って来た。

「やれやれ、やっと眠れるな。」

「もう今夜はココに泊まるよ。明日も早いし」

「そうだな。あれ?もう誰か寝てるよ」

「誰だろ……おーい誰ですか?」

「……………………」

「早え〜もう爆睡かぁ!?」

「もう、お前悪いな。起こすなよ。」

二人の医者は起こすのを諦めると、向かいのベッドの1階と2階に入った。

そして5分と経たないうちに、それぞれイビキをかき出した。

「まずいな。勇のケータイがあそこにあるぞ」

サムは軽く舌打ちをした。


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