エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》
《20:00〜》
源は最小限の荷物を持ってタクシーでチャンギ空港へともう後僅かの所に来ていた。
気持ちは少しでも早く日本に戻りたかったので、その後を離れて尾行して来る車にはまったく気付いていなかった。
その車は黒沢の部下で、源を乗せたタクシーが空港の敷地内に入るのを見届けながら黒沢へと報告をした。
「源が空港に着きました。多分、いや確実に日本に帰るようです。」
「判った。くれぐれも気付かれないように尾行しろ!」
「分かりました。」
黒沢は電話を終えると、愛車の中でハンドルを切りながら、片手でガッツポーズを決めた。
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