エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》

｢あら、ついに動いたの？｣

美佐子が助手席で煙草をくゆらせながら聞いてきた。

｢はい。源のヤロー今から帰ってきますよ。成田でひっつかまえますか？｣

｢いいえ。泳がせましょう。そしたら勇と火菜の所に案内してくれるわよ。勿論、取引は取引だけど、すべてを掌握しておかないとね。｣

｢そうですね。誰が野獣の餌食になるのかな〜。｣

もうすっかり美佐子に洗脳されて絶対服従の黒沢は大はしゃぎして言った。

｢もうすぐ病院ね。｣

美佐子はいつも通り冷静だった。


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