エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》

「勇、ここで待ってるんだよ。」

サムは仕方なく、勇を病院の廊下で待たせ自分だけ仮眠室に戻ると、覚悟を決めて壁に掛けてある白衣を取って着用した。

白衣の名前は『宮崎』

先程から財布の覗いていたヤツだ。

サムは勇のケータイのあるベッドに近づきそっとカーテンを開けて中の様子を窺った。

すると中の医者は完全に寝入っていた。

そして最悪な事に枕元に勇のケータイはなかった。

――仕方ない…。

サムはサーッとカーテンを引きながら

「すいませんね。ケータイを置き忘れていませんかね?」

その医者を起こした。


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