エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》

「お待たせしました。」

児島の母が扉を開けると、望と弥生が立っていた。

「まあ、お待ちしておりました。さあ、中へどうそ。」

二人は中に入る前に車で待っている梓に手を振った。

梓は頭を下げると、ゆっくりと車を出した。

一旦はリビングに通された二人だが、

望が

「それじゃあ、火菜も勇ももうすぐここに来るのですね?」

と聞いた。

「はい。台風が治まり次第二人ともここに来ます。」

そういいながら、キッチンにお茶の用意に立とうとした児島の母を望が遮った。

「どうぞお構いなく。それじゃあ私達もすぐに出ましょう。あまり遅くなっては、その子に逃げられでもしたら大変。」

「そうですね。でも、誰か一人残りますか?」

児島の母はなんとなく弥生に向かって言った。

「でも、その子が男性と一緒だったら、二人じゃ適わないわ。望さんともよく話したんですけど、三人で行った方が確実でしょう!?」

弥生がそう言うので

「判りました。そうしましょう。」

児島の母も同意した。


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