エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》

「まあーそうだったの!? それじゃあ二人は血が繋がっていないのね。」

車内はその話題で盛り上がっていた。

「そうなの。それを勇に話しておいたから喜んでたわ。あーでも火菜ちゃんには手紙を書いたけど、黒沢に取られてしまったから……。」

―またしても黒沢か。

望は忌々しい黒沢の顔を思い出していた。

「そう言えば火菜ちゃん。大事な話があるって言ってたわ。」

思い出したように児島の母が言った。

「何かしらね。」

「多分、良いことですよ。」

三人はアリサのバイト先の『SHOT』へと車を走らせた。


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