エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》
火菜たちを乗せたベンツは児島邸に向かっていた。
車が段々と近づくにつれ火菜と命は無口になっていった。
「今夜一晩じゃないの。」
命の母がそんな二人を察して宥めたが、命は漠然とした不安に駆られていた。
―このまま離れたら二度と会えないんじゃないか……。
勿論そう口には出さないが……。
火菜は火菜で、勇に命の事をどう説明したらいいだろうかと悩んでいた。
――勇は判ってくれるだろうか……。
ちょうど望たちが出発して15分程して火菜たちが到着した。
命が別れ際に火菜のケータイが使えない事を思い出して
「火菜、これから俺たち区役所に寄って帰るから少し遅くなるけど、後で電話するから、家の電話番号教えてよ。」
「うん。待ってるね。」
火菜は番号を告げると車を降りた。
命が別れがたそうに火菜の手を掴んで離そうとしなかったが、
「ミコ。大丈夫。大丈夫だから。明日、待ってるよ。」
と言うので
「明日、目が覚めたらすぐに迎えに来るからね。」
やっとで命が諦めると、命の父が車を走らせた。
「やれやれ、お熱いですね。」
光のチャチャに誰も笑う事はなかった。
…………………………………
車が段々と近づくにつれ火菜と命は無口になっていった。
「今夜一晩じゃないの。」
命の母がそんな二人を察して宥めたが、命は漠然とした不安に駆られていた。
―このまま離れたら二度と会えないんじゃないか……。
勿論そう口には出さないが……。
火菜は火菜で、勇に命の事をどう説明したらいいだろうかと悩んでいた。
――勇は判ってくれるだろうか……。
ちょうど望たちが出発して15分程して火菜たちが到着した。
命が別れ際に火菜のケータイが使えない事を思い出して
「火菜、これから俺たち区役所に寄って帰るから少し遅くなるけど、後で電話するから、家の電話番号教えてよ。」
「うん。待ってるね。」
火菜は番号を告げると車を降りた。
命が別れがたそうに火菜の手を掴んで離そうとしなかったが、
「ミコ。大丈夫。大丈夫だから。明日、待ってるよ。」
と言うので
「明日、目が覚めたらすぐに迎えに来るからね。」
やっとで命が諦めると、命の父が車を走らせた。
「やれやれ、お熱いですね。」
光のチャチャに誰も笑う事はなかった。
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