エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》
その頃、火菜は児島宅の玄関先で電話の音を聞いていた。
しかし、中に入りたくてもしっかりと鍵が掛けられている。
――どこかに鍵が置いてあるんだろうか。
火菜がポストを開けてみると、中に手紙が入っていた。
火菜は中身を確認すると
「あぁ!離れにいればいいのね。」
火菜が離れに移動する頃にはしつこく鳴っていた電話も切れてしまった。
確かに離れは開いていた。
火菜は中に入るとすぐに鍵を掛けた。
中にはリビングに食事の用意がしてあって、また手紙が置いてあった。
火菜はまず手紙を確認した。
すると、今、未来の母、火菜の母、勇の母の三人でアリサの所にペンダントを取り戻しに行っているらしい。
火菜は
「ありがとう」
感謝の気持ちで一杯になった。
そして夕食は勇の来るのを待って食べる事にした。
テーブルには、リンゴと果物ナイフも添えて置いてある。
「お母さん、覚えていてくれたんだ。」
火菜は勇の為に後で剥いてあげようと思った。
――勇はリンゴが大好きなんだよね。
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