エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》
勇がそれを知った時に、あのガラスの様に脆くて壊れやすい心が……
しかし鋼のように硬くてまっすぐな意思が折れたり、曲がったりする事はあるのか……?
いま俺はそれを見守る為に日本に戻っているようなものだ。
勇が壊れないように、火菜が幸せになれるように一刻も早く二人の元に帰りたい。
そう思いながら、このまま引き返したい思いも強い。
それは漠然とした不安からの現実逃避かもしれない。
――ああ、俺が行くまで何も起きませんように……。
もはや源は二人の心配で頭が一杯で、後部座席に気をやる余裕などまったくなかった。
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