エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》
勇の目がトロンとしてきたのに火菜が気付いて声を掛けた。
「勇。眠たいんでしょ?もうお風呂に入ったら!?」
「うん。なんだかおなかがいっぱいで ねむたくなったよ おふろはいるね」
火菜が案内して勇が入っている間にバスタオルなどを準備をしてやった。
――今日は本当に疲れた。私もお風呂に入ってそれから勇に話そう。
火菜がそう考えている所にリビングの電話が鳴った。
♪♪♪〜♪♪〜♪♪♪
「はい。もしもし。」
火菜が出ると、興奮した命の声が聞こえてきた。
「火菜、役所で婚姻届貰って来たよ。俺たち結婚出来るよ。今すぐに飛んで行きたい。」
「うん。良かった私たち結婚出来るんだね。命、うれしいよ。私も早く会いたい。」
火菜もうれしくなって命に会いたい想いで一杯になった。
それから二人は結婚について熱く語らっていたので、背後に忍び寄った人影に火菜は気がつく事が出来なかった。
「………………うっ!……??」
火菜の会話が途中で切れたので
「火菜?どうした?」
命が不安になって呼びかけたが火菜は
「……フーッ……」
と息を吐き出しただけだった。
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