エア・フリー 〜存在しない私達〜《後編・絆》
「私の母、真知子はね…

金持ちの家に生まれて何不自由のない暮らしをしてたのに、中身はあばずれ女だったのよ。

大学生の時に好奇心から始めた水商売のバイトが肌に合って“男”に目覚めてしまったのね。

バイト先で知り合う不特定多数の男と付き合うようになって完全に体が熟した頃に父との縁談が持ち上がった。

モチロン真知子はまだまだ遊びたかったけど、親の手前会うだけのつもりでとりあえず見合いに行った。

そしたら、大輔は真面目で誠実そうだし、何よりも中条といえばかなりの財閥だったので真知子は欲に目が眩んでしまった。

大輔は女性経験もなく緊張でうまく話しも出来なかったので、真知子がうまくリードしてやった。

水商売で鍛えた真知子が大輔を手玉に取る事など造作ない事だった。

二人の結婚の話しはとんとん拍子に進んで行った。

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